2012年10月28日日曜日

備前楯山(1272M) 【栃木県】


日程:10月20日(土)

メンバー:単独

天候:晴れ

アクセス:電車

コースタイム:
9:42間藤駅発-(25分)-10:07古河橋着-(51分)-10:58舟石駐車場着-(準備等2分)-11:00登山口発-(46分)-11:46山頂着-(昼食28分)-12:14山頂発-(30分)-12:54舟石駐車場着-(41分)-13:35国民宿舎かじか荘着-(1時間15分)-14:50切幹の交差点着-(14分)-15:04原向駅着

上記コースタイムの概略図は、日光観光協会さんの足尾散策ガイドをご参考あれ。
http://www.nikko-jp.org/ashio/

足尾商工会議所のHPによると、今回利用した舟石峠登山道以外に少なくとも5つのアプローチが出来るらしいが、どれも登山道や標識が未整備だったりするようで、実質的に備前楯山への一般登山客向けのコースは舟石峠登山道に限られるようです。

感想/記録:
かねてから興味があった足尾の山、備前楯山へ行ってきました。アプローチは例によって公共交通機関頼りのため、わたらせ渓谷鉄道に揺られて渡良瀬川の織りなす美しい渓谷の風景を車窓の外に眺めながら、のんびり足尾を目指します。
ちなみに、始点の桐生から終点の間藤までは片道1,080円。一日フリーパスは1,800円ですから、購入するとかなりオトクです。ただし、車内では発売しておらず、限られた駅の窓口で買わねばなりません。今回はそれを知らなかったため、ちょっと損をしてしまいました。


今回乗った車両には、観光目的の高齢者のみならず自転車でツーリングに来たグループやカメラ女子など多彩な顔触れ。ちなみに、運転手さんがめちゃくちゃ良い声してました。


終点の間藤駅。トイレあります。
さて、ここから古河橋を目指します。
この橋の名前の由来は、もちろん古河市兵衛です。明治初期、彼によって再生された足尾銅山は、日本の近代産業の発展を支えた一方で、足尾鉱毒事件にみられるように日本初の公害問題を引き起こしたことでも知られています。近代の光と影を象徴するような町と言えます。
既に閉山した今日では工場群や鉄橋、廃線などが往時の姿を残すのみとなっています(今でも稼働している所はあるらしい)。



いいですね~、この感じ。

(廃線)


 故郷て
 何処となく 何となく
 仕方なくも
 住慣た処だけに
 其処 此処 彼処に
 思い出が有り
 離れがたし
 捨てがたし

古河橋への途上、とある家のシャッターに書いてありました。これ、何か元ネタがあるんでしょうか?何かどうしようもなくセンチメンタルかつノスタルジックな気分を惹起させるというか・・・。この、「仕方なくも」というところに単純な故郷賛美ではないほろ苦さがあり、深みがあります。昭和に置き去りにされたような街並みの中で目にしたので、余計にじーんときてしまった。


交差点を左折して、渡良瀬川を渡ります。この橋の隣に古河橋が掛けられています。


古河橋は日本でも初期に建設されたトラス構造の鉄橋です。
普通に道路歩いて来ちゃったんだけど、今思えばもしかしてこの橋渡れたのかな?
ともかくも、ここから舟石駐車場を目指します。非常に長い山道です。入口から「熊注意」「落石注意」の看板があり、ビビりながら足早に歩きました。


舟石駐車場到着!


駐車場の奥に階段があり、登山道に続いています。これは登った後に駐車場の方を振り返って撮った写真。一応、汲み取り式のトイレがありました。



登山道はしょっぱなからこのススキ!金銀の穂が風にそよいでとても美しかったです。





ただしススキはすぐに途切れ、笹に覆われたイイ感じの林道に入ります。起伏も殆どなく、周りの景色を楽しみながら散歩気分で登れます。写真にもあるように、関東ふれあいの道としてきちんと整備されています。
山頂付近はやや急登となりますが、特に危なくはありません。


山頂到着~☆ケルンと三等三角点。


備前楯山の特徴は、なんといっても山頂が開けて眺望が良いことです。男体山はやはり雄大で存在感がある!まだ紅葉はイマイチでしたが、ところにより色づき、美しい景色を堪能させてくれました。また、麓も良く見渡せます。


中央やや右上、一番奥に三角の頭だけ出しているのが皇海山。


山頂は強風で非常に寒かった!岩陰でガスストーブを使用し、スープを飲みました。これだけなのにめちゃくちゃ美味しく感じるのが山マジック。
ちなみに、何故かロシア人の家族が登りに来ていました。何故あえて足尾なのか?と思いましたが、どうやらドライブの途中に沿線上の観光場所を訪れているらしく、この先も道路をてくてく歩いている最中に出会ったりしました。ちなみにロシア人と断定した理由は、家族のうちの一人の男の子が、母親に対して「Да!」と答えていたというだけ(笑)

ここから舟石峠駐車場まで下山し、元来た道とは反対方向へ歩きます。しばらくして見えてきたのが、国民宿舎かじか荘。


建物はだいぶ古そうですが、意外や利用客が多そうな雰囲気。もっとも、宿泊客というよりかは、立ち寄り温泉や食事がメインなのかもしれません。


ちなみにこの近くにはこんな慰霊塔があります。足尾の観光地図を見た時に、「中国人が足尾で殉難」というのがちょっと疑問だったのですが、なるほど、そういうことだったのですね。因みに、戦時期にあったこうした「徴用」は足尾のみならず、全国の鉱山で行われていたのもので、花岡事件などは特に有名です。こうした慰霊塔もまた全国的に見られるもののようです。
慰霊塔自体は階段を登ったところにあるのですが、気力がなかったので行きませんでした。結構立派なものみたい。なお、ここから更に下ったところに朝鮮人の慰霊碑もあるのですが、こちらは立て看板があるだけでいまいち不明瞭でした。


下りの道は渡良瀬川支流の庚申川に沿った山道。景色がとてもきれいなので、健脚の方は是非歩いてみて下さい。

(坑夫たちが労働の汗を流した浴場跡。なお、近くに小滝坑跡や火薬庫跡などがある。)



交差点に出てから渡良瀬川沿いを歩き、橋を渡ると原向駅が見えてきます。


やっぱり無人駅。
タイミングが悪く、次の便まで40分以上あったので、お茶を飲みつつ待ちました。
今回の山行は、登山する時間よりも登山口までのアプローチの方が長く、特にくだりは途中右脚の付け根が痛くなってちょっと気力が削がれそうになりました。
ただし、単に山に登るだけでなく、足尾の歴史を肌で感じることができ、非常に有意義な体験だったと思います。
この山域では庚申山にも興味があるのですが、修験道の山だけあって岩場鎖場なんでもござれのようなので、当分は行かないだろうなあ。

ところで、芥川龍之介の作品に「日光小品」(明治44年頃)というものがありまして、題名そのまま日光の所感をつれづれに書いたものなのですが、この中で足尾にも言及しています。
青空文庫でも公開しているので興味があれば是非一読いただきたいのですが、「工場」の段では肉体労働に従事する人間の生々しい臭気や躍動が感ぜられ、胸に迫るものがあります。

「黄色い硫化水素の煙が霧のようにもやもやしている。その中に職工の姿が黒く見える。すすびたシャツの胸のはだけたのや、しみだらけの手ぐいで頬かぶりをしたのや、中には裸体で濡菰を袈裟のように肩からかけたのが、反射炉のまっかな光をたたえたかたわらに動いている。・・・
・・・彼らの銅のような筋肉を見給たまえ。彼らの勇ましい歌をきき給え。私たちの生活は彼らを思うたびにイラショナルなような気がしてくる。あるいは真に空虚な生活なのかもしれない。」

日本近代の華々しい発展を薄暗い現場で支えたのは、煤けた肌をした鋼のような坑夫たちでした。彼らは「目に一丁字無き」人々であり、「都会的」「文化的」ではなかったでしょうが、それ故に、芥川は彼らに対してどこか人間の原初的性質を純化したような部分を感じ取ったのかもしれません。


・・・もはや山行記録ではないような気がしますが、上手くまとまったので、今回はこれにて。


2012年10月2日火曜日

上高地散策:明神池~大正池【長野県】

日程:9月29日(土)~30日(日)

メンバー:
1日目→ツアー
2日目→単独

天候:
1日目:晴れ→曇り
2日目:曇り→晴れ→曇り/雨

アクセス:電車、バス

コース:
1日目:河童橋~明神池(梓川右岸周り)
2日目:旅館~大正池、河童橋~明神池(梓川左岸周り)
(タイムは特に計ってません)

感想/記録:
今回、初めて上高地へ行ってきました!2日も滞在したのにナゼこんな狭い範囲しか散策出来なかったかと言うと、もともと日帰りツアーだったところに私だけ現地に残って一泊したため。1日目は当然日帰りを想定したコースが組まれているので、泊まりの行程を組むというより日帰り×2日の行程を組まざるを得なかったわけです。当然、その分行動できる範囲は限られてしまいました。

そんなわけで平地をぶらぶらするだけの上高地でしたが、それでも美しい景色を堪能することができ、良い思い出になりました。


河童橋からは良く写真で見るような穂高連峰の山々が望めますが、今回は山頂に雲がかかることが多く、残念でした。
まずは1日目の写真。





林道を散策するだけでも楽しい!梓川をぐるっと周って小梨平食堂の辺り(だったはず)へ行くと、てるてる坊主が2つ、のほほーんと宙に浮かんでいました。折しも日本列島に台風が近づいていたこの時期、御利益がありますようにと心の片隅で思いつつパシャリ。


散策が終わり、友だちと別れ、一人河童橋付近をぶらぶら。
すると、ちょうど結婚式に遭遇!河童橋を歩くウェディングドレスの花嫁さんに、その場にいた人全員みんな笑顔でした。

2日目は早朝から大正池へ。本当ならば日の出前に旅館を出発して、5時半前には大正池に到着したかったのですが、色々あって結局出発が5時50分頃、途中ランニング含め6時35分頃に大正池に到着。7時半に朝食のため、復路を考慮すると殆ど時間の余裕がありませんでした・・・。







それでも朝靄の大正池は拝むことができました!穏やかで幻想的な光景に、しばし疲れを忘れて見入ります。時間を忘れてぼーっと眺めたいところですが、早々に退散。


ところで、今回泊ったのは西糸屋山荘さん。山荘という名前ですが、きちんとした旅館です。休憩室ではコーヒーやお茶が飲み放題☆大正池までの過酷な早朝ハイキングを終えて一服したコーヒーは最高でした。
このあとは特に予定は考えていなかったのだけど、思った以上に晴れてきたこともあり、1日目とは反対方向から明神池へ行くことに。



1日目は行けなかった明神池の中も入りました。



見上げると、てるてる坊主が効いたのか、この青空!



台風はどこへやら、快適なハイキングでした。

・・・ところが、帰りのバスに乗車したところで雨が。台風に伴う大雨で高速は渋滞に。帰りが一番疲れました。

ところで、上高地では猿の「人慣れ」が進んでいるそうです。昔よりも猿と人間の接触範囲が広くなったとのこと。原因は色々ありますが、観光客が猿に餌をやることも一因です。このまま行けば日光の猿の二の舞になるということで、ガイドの方々は啓蒙活動に励んでいるようです。
また、上高地は平地でも熊の目撃情報があるので、周辺を散策するだけの方も熊鈴は持参すると良さそうです。


2012年9月17日月曜日

那須岳:茶臼岳(1915M)~朝日岳(1896M) 【栃木県】

日程:9月16日(日)

メンバー:単独

天候:晴れ→曇り/小雨

アクセス:電車、バス、ロープウェイ

コースタイム:
9:37那須ロープウェイ山頂駅発-(32分)-10:09茶臼岳山頂着-(8分)-10:17茶臼岳発-(33分)-10:50峰の茶屋-(42分)-11:32朝日岳着-(5分)-11:37朝日岳発-(38分)-12:15峰の茶屋着-(昼食15分)-12:30峰の茶屋発-(30分)-13:30那須ロープウェイ山麓駅-(30分)-13:30大丸温泉着

感想/記録:
自宅最寄り駅から始発電車に乗り、JR宇都宮線で北上。途中(矢板あたり?)霧が濃く、しかも曇天のため不安になりましたが、黒磯駅に着く頃には晴れ間が覗いていました。バスで那須ロープウェイ山麓駅に着く頃には快晴!しかし風強し。この日は台風に伴い大気が不安定のため、雷注意報が出ていました。

ロープウェイの乗車券(片道650円)を購入し、列に並びます。整理係のお姉さん・・・というかおばさんの案内によれば、強風や雷の際は運行を中止するとのこと(その場合は払い戻しできるが手数料がかかる)。また、時間ぎりぎりに並ぶと次便に回されることもあるとのこと。
ロープウェイは場所により大きく揺れます。右手には尖った朝日岳が見えます。

茶臼岳は保育園児の頃の遠足で登ったことがあるのだけど、物心ついてから登ったのは恐らく今回が初めて。おぼろげな記憶ではすごーく坂が急で岩が多くて道が遠いような感じがしてたのだけど、今見るといたって普通の登山道だった。


気持ちの良い青空のもと、茶臼岳の頂上を目指します。・・・ここから見ると丸い穏やかな山容に見えるのだけど、実際は火山なので岩がごろごろしています。





山頂の鳥居をくぐると那須岳神社の祠が見えてきます。とりあえず、安全登山を祈願。
頂上は岩場で、沢山の登山客が思い思いの場所で休んだり、景色を眺めたり。

さて、ここから峰の茶屋跡へ向かいます。やはり岩場ですが、特に危ないところはありません。途中、噴煙の吹き出る箇所を通ります。独特の硫黄の臭気。


(良く見ると煙が噴き出してる!後ろには朝日岳。)


峰の茶屋跡が見えてきた!右下の道は山麓駅へ続く下山道。後ろの尾根は剣が峰で、朝日岳へ行くにはここの山腹の巻道を通ります。因みに冬期は雪の中この尾根を登るそうな…。

ところで、私は高所恐怖症の上かなりのビビリです。しかも朝日岳は初めての山。最初は先を行くご夫婦にくっついて行こうと思ったのだけど、このご夫婦も初めてだったらしく、途中のひらけた場所で「若い人がお先に」と促され、先頭を行くハメになりました。鎖場とトラバースに膝が震えそうになりながら黙々と進みます。下山者と道を譲り合いつつ…途中で鉢合わせしちゃうと大変ですね。


さらに登って山頂へ。結構狭いです。ほんとはゆっくりしたかったのだけど、ガスが発生してきたので足早に下山。ああ、またあの道を通るのか…と少し憂鬱に。
ところが、予想外に下りはラク!ちょうどトラバースする場所は登りは右側が山肌、下りは左側が山肌になるんですが、どうやら私は左側に鎖がある分には問題ないらしい。その証拠に登りはなんともなかった箇所も帰りは山側が右になるだけで恐怖心が。
そういう癖なのか気の持ちようなのかは分かりません。





この後、天気は下り坂。いつの間にか曇りになりました。峰の茶屋で昼食中、一瞬ですが小雨がパラつきました。
峰の茶屋から先ほどの下山道へ。ロープウェイまで戻ってきましたがちょうどのバスがなかったため、大丸温泉を目指し歩きます。いちおう歩行者向けの道があるのですが、つづら折りの車道を突っ切る形になるため何度も車道を横断せねばなりません。ちょっと危険。


温泉到着~☆いいお湯でした。
近くの休憩所の焼き団子とこんにゃくの味噌田楽を食べ、バスに乗車。
連休中のためか大渋滞で、駅に着くのが1時間くらい遅れました・・・
が、無事に帰れて良かった良かった。

ところで、今回の登山では前日に買ったばかりのハイドレーションシステム(プラティパス ホーサー1.8L)の使い心地を確かめるという目的がありました。本当はビッグジップが欲しかったけど高かったので妥協。
で、感想は以下のとおり。

・使い始めたばかりか水のプラスティック臭?が気になる
・ザックを下ろす回数が格段に減少した。
・ただし、ザックを下ろす時は口をつける部分が地面に付かないよう気を使う。
・いつでも手軽に水分補給ができるので、飲む量も増えるだろうと思ったら、そうでもなかった。ペットボトルのようにごくごく飲みづらいからだと思う。良いことなのか悪いことなのか。
・ペットボトルのように嵩張らないし、飲むだけスペースが減るためザックの空間確保には便利。
・行動中は問題ないけど、腰をおろして休憩中に使用するのはちょっと恥ずかしい。(ザックから伸びた管をチューチューするんだぜ)
・総じて便利なため、気にいってます。