2014年9月14日日曜日

安達太良山(1699M)【福島県】

日程:8月14日(木)~8月15日(金)

メンバー:単独

天候:1日目→曇り、2日目→曇りのち晴れ

アクセス:自動車

コースタイム:
1日目
11:51あだたら高原スキー場駐車場-(あだたら渓谷自然遊歩道)-12:20勢至平・五葉松平分岐-(五葉松平コースを目指すも取り付きが良く分からず引き返し)-12:45勢至平・五葉松平分岐-13:39峰の辻分岐-14:28くろがね小屋

2日目
6:11くろがね小屋-8:05山頂-9:16五葉松平(標識)-9:55あだたら高原スキー場駐車場

感想/記録:

阿多多羅山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。


 誰もが国語の教科書や資料集で一度は目にした高村光太郎の詩。昔からなんとなく心の中にあって、ふと思い出すことがありました。福島の山にも登ってみたかったし、じゃあ「ほんとの空」を見に行こうじゃないかというわけで、お盆休み中に初・福島遠征を敢行してまいりました。今回の登山では二本松観光とくろがね小屋泊も目的だったので(というよりそれがメイン)、日帰りコースを泊まりでやるというゆったりプランとなりました。振り返ってみると今年の登山は大分余裕を持った日程が多かったなあ。仕事で疲れているからかな。
 もう一ヶ月も前なので記憶が曖昧ですが、確か6時台に自宅発。例によって高速は回避したためひたすら国道4号で北上。県境を越えたところで一度コンビニ休憩を入れ、そこから更に北上して二本松市へ入りました。
 二本松といえばやっぱり二本松城!



 
 入口に二本松少年隊の顕彰碑がありました。
 現在は城址公園として市民の憩いの場所となっているようです。今回訪れたときはお盆中&暑さもあってか殆ど人はいませんでした。天守台跡からは市内が一望でき、晴れていればさぞや気持ちが良かろうと思いました。
 
 
 お昼は市民交流センター内の杉乃家さんへ。浪江焼きそばの名店です。センター自体は比較的新しく、良くも悪くも公共施設的クリーンさ・無機質さのある建物なのですが、一歩中に入るとかすかにソースのいい匂いがしてきます。なんとなく不思議な感じ。11時の開店とほぼ同時に入ったので、並ぶこともありませんでした。


 元々浪江町でお店を開いていましたが、原発事故で避難し、ここで営業を再開されたようです。箸袋は前の住所のままになっていますね。
 この焼きそば、うどんかと思うような極太麺で超モチモチしているのです!ボリュームもあり、これだけでかなりお腹いっぱいになります。いや~美味しかった。
 さて、ご当地グルメを堪能していよいよ安達太良山へ。スキー場の駐車場に駐車し、身支度を整えていざ登山開始。
 なお、元々の計画では1日目にゴンドラは使わずに五葉松平をとおって山頂まで行く予定だったので、スキー場を突っ切るか自然遊歩道を行くか考え、変化に富むコースのほうが楽しいだろうなあと後者を選択。

 
  「渓谷」の名前のとおり谷あいの沢筋を辿っていくコースで、途中何度か両岸を橋で渡り返しながら進んでゆくと、勢至平と五葉松平への分岐が現れます。当然、当初の目的どおり五葉松平方面を選びます。遊歩道を出てスキー場の中へ入り、雑草の生えた粘土質の傾斜地を黙々と登っていくものの、拓けた場所で踏み跡が明確でないためイマイチどこが登山口なのか分からず、リフトの降り場まで来て若干不安に。進むべきか退くべきか迷いましたが、不安に思ったら引き返せという鉄則に従い、一日目の登頂はすっぱり諦めて分岐へ引き返したあと、改めて勢至平経由でくろがね小屋へ向かうことにしました。これで大分時間をロスしてしまいました・・・。
 勢至平へ出るまでの道はやや急な登りで旧道と馬車道の2つがあり、合流箇所ではコンディションや気分に合わせて好きな方を選べます。旧道が一般的な(岩あり根っこありの)登山道、馬車道は林道のためよく整備され歩きやすい。ちなみにスキー場で体験した粘土質の土壌はどうやら安達太良山特有のものらしく、いつ降ったものか雨に濡れていた旧道は非常に滑りやすくて予想外に苦戦しました。登山靴にも泥がこびりついたり。
 
 勢至平に出た後はほぼ平坦でさくさく進み、午後2時半頃くろがね小屋へ到着。
 
 
 斜め屋根がシャレオツな山小屋です。
 さあ、いざチェックイン!・・・しようとして大変なことに気づきました。
 
 なんと、財布を車の中に忘れていた\(^o^)/
 
 あり得ない失態に一瞬真っ白になる私。しかも管理人さんによると、くろがね小屋は県営のためレジの会計をきちんとチェックされるようで、ツケも利かない模様。結局、管理人さんのポケットマネーから立て替えていただき、後日ふもとの観光協会で代金を支払うこととなりました・・・。いや、その節は大変お世話になりました。なんとお礼を言ったら良いかわかりません。
 ところで、普通山小屋というと夏シーズンはアルバイトを雇うほど人手が必要なイメージがありますが、このくろがね小屋は宿泊客が(確か)30人までは一人で対応しなければならないそうで、この日泊まった二十数人分の夕飯と朝食の仕込み、配膳、片付け等(多分風呂掃除とかも)は管理人さんが全て一人でやっておりました。これ、とんでもなく大変だと思いますよ。ご迷惑をおかけした代わりに私も配膳をお手伝いしていたら、他の登山客の方も自主的に手伝ってくださいました!やっぱり山に登る人はいい人が多いな~とほっこりした気分になりました。
 
 
 
  私が泊まった部屋から。間仕切りはカーテンのみ(右上に写ってるような感じ)。畳敷きで部屋の両端に板が敷いてあり、開けると中に靴を入れるスペースがあります。2階建てですが、2階は更に部屋が2段に分けられ、実質3階建てのような造りです。私が泊まった部屋は3階でした。部屋は全て相部屋ですが、今回私は他のお客さんと一緒になることなく、一人でのびのび使うことが出来ました!ラッキー。
 着いて早速お風呂へ。岳温泉の源泉を引いているという非常に贅沢な温泉なのですが、白濁した硫黄臭のする酸性泉で、温度もちょうどよく、とっても気持ちよかったです。疲れた体が癒されました。なお、朝は朝食の仕込みで水を使うため、朝風呂はご遠慮くださいとのことでした。
 くろがね小屋で有名なのが夕飯(17時半)のカレーライス。なんでも歴代の管理人さんが引き継いできたメニューなんだそうだ。客が少なかったからか(?)希望者にはおかわりサービスということで、私も2杯頂きました。更にラッキー。カロリーは気にしない。
 翌日の朝食は5時半。ご飯、味噌汁、牛筋の煮込みが少々、あとは海苔と温泉卵だったかな?漬物もあったかしら。こちらは山小屋らしい、素朴で質素な朝食です。
 6時すぎには山小屋を出発。
 
 
 2日目の天気はこんな感じ。昨日以上にガスで視界不良。登山道がよく整備されており、至るところに分かりやすくマーキングやロープがあったため、大きく道を外れることはありませんでしたが、見晴らしが利かず周囲の様子が分からないということがこれほど心理的圧迫感を与えるものなのかと思いました。ガレ場で進む方向が分かり辛いような場所は特に怖かったなあ。一度、峰の辻で矢筈森方向に行きそうになり(そっちに行っても頂上は着けるんだけど)、晴れてればこんなことはないんだろうなあ、天気一つで山の難しさって変わるんだなあと改めて思いました。
 
 
 
  こんな感じの視界だもの。
 とりあえず、頂上に到着して写真をとってはみたものの・・・。
 
 
 
 もはやここがどこなのかすら分からない・・・。
 む、むなしい、むなしすぎる。ほんとの空なんてどこにもないよ智恵子・・・!とやるせない気持ちにかられつつ、先に到着していた群馬から来たおじさまとしばし歓談。ちょうど上の写真の後ろに薄ぼんやりと小高い山が見えると思うのですが、ここが本当の山頂?ということで、せっかく来たし登ることにしました。
 
 
 
  山頂には「八紘一宇」と彫られた石碑が。さて、この四文字熟語を見てすぐにピコーンと来たあなたは四字熟語マニアか、昭和史マニアか、軍オタかと思われます。
 この石碑のいわれは後ろに彫られた「紀元二千六百年記念 昭和十五年八月安達郡青年団建之」という文で分かります。八紘一宇という言葉は「世界を一つの家とする」というような意味合いで、かつて大東亜共栄圏とか大東亜新秩序建設とか、そういう思想的風潮の中でスローガンのように使われた言葉なのですね。紀元二千六百年というのはもちろん西暦ではなく皇紀数えによるもので、この節目に当たる昭和15年には記念事業が全国的に行われました。この石碑もそのなごりだと言えるでしょう。ちなみにゼロ戦の名前も「2600」年に採用されたことが由来なんですよね~。面白いよね~。
 
 閑話休題。
 
 遮断するものが何もない頂上は強風と水分を含んだ湿った雲の真っ只中で、めがねはすぐに水滴で視界不良になるし、髪もびしょ濡れだし、それはそれは大変な状態でありました。ただ同時に、上を見上げると日の光と青空がかすかに見えることに気づきました(上の「八紘一宇」写真でも、左上がやや青みがかっています)。
 いずれにしてもこの状態ではまた降りるのも嫌なので、しばらく岩陰で休むことに決めました。その間に、みるみる周りの景色が変化していきました。
 
 
 強風に押し流される雲が徐々に下降し始め(ちょうど、水位が下がるように)、青空が覗きました。
 
 
 周囲の山々も見えてきました。
 
 
 なんだか飛行機からの景色みたい。
 
 
 
 気づけばそこには雲海が!!2000Mに満たない山とは思えないような景色でした。この時点で風も落ち着き、爽やかな空気が満ち、穏やかな日の光が降り注ぐようになりました。
 
 
 
  鉄山方面。もののけ姫の世界みたい!!後ろの穏やかな山容の山は東吾妻山。
 
 
 船明神山方面。後ろに顔を出してるのが磐梯山!
 本当に、この劇的な天候の変化には感動しました。しかも大方晴れてきた頃に一人登ってきた以外は私しか頂上にいなかったので、まるで世界の一番高い場所にたった一人でいるような気分になりました。2000M以下の山なのに!(大事なことなので2回目)
 なんというんでしょう、ガスの中ひとりでとぼとぼ登っていた時の寂しさとは違う、すがすがしい孤独感とでもいうか、とにかくとても気持ちがよかったです。
  
 
 山頂から降りてみれば、そこにはすっきりと透明な青空が。
 
 
 
 余韻を残しながら、下山開始。
 
 
 いや~、それにしても出発時が夢のような見事な晴れだわ。
 そうそう、帰りはゴンドラに乗ろうかなあとも思っていたのですが、よく考えたら財布がないことに気づき、ふもとまで五葉松平ルートで降りることにしました。1日目に登り口が分からず諦めたルートです。ルーと自体ははっきりしており、歩きにくいということもありませんでした。
 
 
 さて、五葉松平ルートからスキー場へと出てきて振り返ったところ。私はリフトの方へ行ってしまったのですが、左の茂みの方へ行くのが正しかったようです。分かり辛いわー。それともリフトの方からも合流できるルートがあったんでしょうか。
 この先はスキー場の中をふもとを目指して降りていくだけなのでラクチンです(ちょっと滑りやすいけど)。岳温泉の定食屋さん「成駒」でガッツリとソースカツ丼を食べ、消費したカロリーを摂取して(・・・)帰路に着いたのでした。
 
 そんな感じで、振り返ってみればとっても良い思い出が出来た今回の山行。
 安達太良山の「ほんとの空」は胸に染み入るような美しさでした。
 

2014年8月16日土曜日

那須岳:茶臼岳(1915M)~三斗小屋~朝日岳(1896M)【栃木県】

日程:8月2日(土)~8月3日(日)

メンバー:2人

天候:1日目→晴れのち雨、2日目→曇り&晴れ

アクセス:自動車

コースタイム:
1日目
7:49峠の茶屋駐車場-8:39峰の茶屋-9:08牛ヶ首-9:29牛ヶ首分岐-10:05茶臼岳山頂-10:54峰の茶屋(36分お昼休憩)-12:45三斗小屋温泉(大黒屋泊)

2日目
7:32大黒屋-8:42隠居倉(13分休憩)-9:25熊見曽根-9:46朝日岳-10:14峰の茶屋-11:42峠の茶屋駐車場

感想/記録:
今回は写真がほとんどありません。というのも、SDカードの容量がいっぱい&軽量化のためカメラを持参していなかったのもあるのですが、スマホのバッテリーを忘れるというポカをやらかし、ほぼ電源を切っていたためです。
普段は単独のことが多い私ですが、今回は富士山チャレンジを控えた同期の友人と二人で登りに行きました。最初はロープウェイ使っても良いかなあと思っていた私ですが、友人の「ロープウェイ使わずに登りたい」というやる気を尊重して、駐車場から登山を開始。昨年一人で登ったときはロープウェイを使ったので、そういえば下から登るのは私も初めてなのでした。友の一言に感謝。
朝5時頃に宇都宮を出、6時過ぎに県北の友人を拾い、途中コンビニで食料を補給して7時半頃には駐車場到着。行程から言えばこんなに早く行く必要はなかったのですが、那須岳の駐車場は山シーズンは7時台に埋まる可能性があるというもう一人の同期のアドバイスを受け、早めに行動することにしたのでした。実際にはロープウェイ駐車場等は空きが多く、そこまで急がなくても良かったかなという印象。ただし峠の茶屋駐車場は確かに6~7割は埋まっていました。
あせらずゆっくりした歩調で峰の茶屋に到着したあと、いざ茶臼岳登山へ。普通は峰の茶屋からの往復コースを取るところですが、同じ道ではつまらないので、茶臼岳西側山腹のトラバースから牛ヶ首を経由していったん表側(という言い方もへんだな。ロープウェイ側です)に出、そこから山頂へ登って峰の茶屋方向へ降りることに。このルートは「無間地獄」と呼ばれる噴気孔が間近にあり、もうもうと吹き上がる煙と硫黄の臭いが充満する中を通るルートで、活火山・茶臼岳の荒々しさ堪能できるルートです。人も少ないので結構オススメです。ただし、途中の木橋が劣化により立ち入り禁止となっているため注意。しょうがないのでその下を通りました。
茶臼岳山頂は人がいっぱいで賑やか。峰の茶屋へ降りたあと、ちょっと早めの昼食をとることにしました。やっぱり山ではパンよりおにぎりの方がおいしく感じるなあとしみじみ。お米のおいしさを実感してるときって、日本人でよかったなあと思うよね(コンビニおにぎりだけどね)。
さて、今回の私の最大のミッションは「三斗小屋温泉に泊まる」ということでした。徒歩でないといけない秘湯。前々から行きたい行きたいと思っていて、やっと1年越しくらいで実現しました。三斗小屋へは峰の茶屋から登山道が伸びています。どんどん樹林帯へ下っていく道で、途中に延命水と呼ばれる水場があります。
三斗小屋温泉には大黒屋と煙草屋の2軒があり、今回泊まったのは大黒屋さん。大黒屋さんの方が旅館風、煙草屋さんの方が山小屋に近い・・・というネットのうわさで大黒屋さんを選択しました。ただし、煙草屋さんには露天風呂がありますが、大黒屋さんは内風呂しかありませんので、温泉目的の方には物足りないかも。実際泊まってみるとトイレは綺麗で水洗(!)だし、部屋にお茶が用意されてるし、部屋食だしで、確かに山小屋ではあり得ないサービスの数々でした。もちろん布団は自分で敷く必要がありますし、アメニティはありませんし、ご飯も普通の旅館のレベルを期待してしまうと見劣りはしますが、この山という限られた環境の中でこれだけのおもてなしを維持するのは大変だと思います。宿の方も気さくでよい方ばかりでした。
大黒屋の内風呂は大小2つあり、1時間ごとに男女が交代となります。小さい方は雨の影響?かかなり温度が低め。逆に大きい方はかなり温度が高く、足をつけて思わず飛び上がってしまいそうになるほど。源泉が異なるそうです。どちらも水質は無色透明でした。宿には早く着いたため、ぐだぐだしたりグチを言い合ったりお風呂に入りに行ったりで、ゆっくり時間をすごしました。
ちなみに、同日別館に泊まっていた福島県から来た同年代の4人グループがとっても元気いっぱいで凄かったw皆さん中学校の先生&学校事務という割とオカタイ職業についているにもかかわらず(というと偏見だけど)、もう完全にノリが体育会系大学生というか、喋りだすと止まらないわで超・インパクトを残していったのでした。あれだけのパワーとタフさがあれば人生楽しいだろうなあ~とある意味羨ましくもなったり。

2日目は大黒屋を出発して隠居倉へ。この登りが想像以上にキツイ。地図によっては登りのコースタイムが下りの倍だったりするので覚悟はしていましたが、ほぼ登りだけのルートで途中ロープの張られた箇所もあり、しかも周りが木に覆われているので見晴らしもなく、いつ終わるとも分からない中延々と登山道を辿っていく・・・というこの辛さ。自然と口数が少なくなる二人。その分見晴らしの良い隠居倉に到着したときの開放感と風の心地よさはなんとも言えず感動的でした。日差しも強かったけどね。
ここから先の熊見曽根までもほぼ登りですが、先ほどまでに比べれば天国です。熊見曽根からは朝日岳の山頂へ。朝日岳からは下りかつ以前経験したルートであることもあり、難なく下山。12時前には駐車場へ到着しました。
因みに、お昼は道の駅友愛の森でコロッケ定食を食べました。もっと時間が早ければなすべんを食べたかったのだけど、限定20食(確か)のため一歩及ばず・・・。コロッケもホクホクでおいしかったですよ。
今回は登山メインなので、どうしても下山後の観光とかレジャーはなおざりになっちゃったかも。
次は遊びで那須に来ようね!と約束して分かれたのでした。

2014年8月15日金曜日

至仏山(2228M):山の鼻~鳩待峠コース【群馬県】

日程:7月12日(土)~13日(日)

メンバー:単独

天候:1日目→晴れ夕方から曇り、2日目→曇り&小雨

アクセス:自家用車、乗合タクシー

コースタイム:
1日目
7:15尾瀬第一駐車場-7:50鳩待峠-8:42山の鼻ビジターセンター-8:50研究見本園-9:18山の鼻ビジターセンター-10:03牛ヶ首-10:38ヨッピ吊橋-11:17東電小屋(昼食:うお沼きりざい丼700円)-12:05分岐-12:18見晴(弥四郎小屋泊)

2日目
5:23弥四郎小屋-5:43竜宮-6:10牛ヶ首-6:37尾瀬ロッジ-7:38森林限界辺り-9:02至仏山頂-11:15鳩待峠
(2日目のこの記録のずさんさに自分もびっくり)

感想/記録:
仏に至る山、と書いて至仏山。名前の由来は「渋沢(しぶっさわ)」から来たとも言われ、仏教は関係ないようですが、なんだかとても端正で趣深い響きです。恐らくやろうと思えば日帰り登山も可能ですが、どうせ尾瀬に行くなら贅沢したい(&仕事を忘れたい)ということで、宿泊での計画となりました。
例により前橋のツテをかりて仕事帰りの金曜日に1泊。翌日前橋から120号と401号経由で戸倉の尾瀬第一駐車場へ。駐車料金は1日1000円なので、今回は2000円かかりました。結構痛い出費ですが、別天地・尾瀬へ行くための必要経費と割切って心と懐を慰めます。
1日目はゆったり木道歩き。まだニッコウキスゲには早い時期だったようでちらほらと咲いている程度。一番目立っていたのはワタスゲだった気がします。といってもワーッと広がっているわけでもなく、要するに中途半端な時期だったのかもしれません。「一週間早かったね~」と言っている方もいました。でも、山の鼻にある研究見本園のカキツバタの群生は中々見事で、華やかな姿にほれぼれとしました。





(ウラジロヨウラク・・・であってる?う~ん、分からない)


(明日登る至仏山)


それより何より、見渡す限りの平原の中にスーッと一本(正確には二本?)伸びる木道ほど、尾瀬を象徴する光景があるでしょうか。もうこの木道の上に立つだけで気持ちがワクワクしてきます。心の中では「夏が来れば」が流れています。水芭蕉の季節は終わってしまったけれど。


山の鼻ビジターセンターを越えていくと、目の前には燧ケ岳。シルエットがいいですよね。至仏山はのっぺりしてるけど、燧ケ岳は適度にごつごつしてて、なだらかな裾野があって、ザ・山ってかんじです(なんだそりゃ)。


(ヨッピ吊橋)

(東電小屋。小屋のお兄さんがめっちゃ良い人でした。)
 
魚沼きりざい丼。なぜ尾瀬で魚沼なのかは不明。味はさっぱりですきっ腹にするする入りました。お味噌汁も具沢山で美味しかった!
 
 
昼過ぎには弥四郎小屋に到着~。というわけで、チェックインの時間までしばしブラブラ。見晴エリアは山小屋が密集しているエリアなので、とってもにぎやかです。特に弥四郎小屋はその中でも最大規模の収容人数を誇る山小屋。グループ客も多く、消灯の9時くらいまで外はかなりにぎやかでした。私は一人だったので他の単独者や少人数グループの方と大部屋で寝ることになりましたが、布団を窓側に確保したため外の騒ぎ声で中々寝付けず、翌朝寝不足気味となってしまいました・・・。これは誤算だったなあ。
 
 
ちなみに、泊まった部屋からは尾瀬ヶ原が一望出来ます!そう、この景色を見て窓側に布団を敷いたのでした。
宿へは早くに着いたため、その後はお風呂に入ったり、外を更にブラブラしたり、とにかく「何もしない」贅沢を満喫しました。何もやることがないって素晴らしい。完結してるけれど実はまだ最後まで読んでいない「ハチミツとクローバー」という少女漫画の中で、登場人物のリカさんが「 こんな何もしない時間なんて どれくらいぶりかしら  そうか  みんな この時間を  お金を出して買うのね 」と言う場面を思い出したり。こういう時間がお金を出さないと手に入らないのが社会人なのですね。子供の頃はきっと、お金をかけて尾瀬に来なくても至るところに転がっていたに違いないのにね(本末転倒)。
 
 
 
昼間晴れだった空は、夕方頃には雲が多くなってきました。
この雲の輪郭を、白金色を帯びた暮れゆく太陽の光が鮮烈に照らし出します。夕日を見るたびに、これ以上に美しい金色が地球上に存在するのかしらと思ったりもします。自然って雄大だ。
小屋の方では、従業員が食器を片付けるカチャカチャという音が聞こえてきたり・・・それもなんだか耳に心地よくて懐かしい。
日帰りでは味わえない、尾瀬のゆったりした時間の流れに思う存分身を任せました。
さて、この雲行き同様、明日の天気は曇りとの予報。心配しつつ、就寝です。
 
翌日はこんな感じ。
 
うすーく広がる霧が幻想的で美しい。昨日とはまた違った表情です。
空はやはりどんよりとしていましたが、その湿っぽさが朝の湿原のみずみずしさを更に高めているような気もしました。
 
(朝露がまるでガラス細工のよう)
 
(クロバナロウゲ。擬人化したら間違いなく悪役)
 
 
行く手の至仏山。頂上は見えるものの、ガスっていてコンディションは悪そうです。
実際山の鼻方面の登山口から登り始めてびっくりしたのが、登山道に水が流れて(大げさに言えば)川のようになっていることでした。至仏山は植物の生育に適さない蛇紋岩で出来ているため森林限界が低いと言われていますが、植物の生育に適さない=水を溜め込むことの出来ない地質ってことなんでしょうか。とにかく階段の一段一段に水が溜まった状態になっており、かなり歩きにくかったです。昨日登った方も同じ状態だったようで、いつ降ったものか分かりませんが、その前の雨が未だに影響していたのかもしれません。

 
晴れていれば最高であろう尾瀬ヶ原の景色も、今回はイマイチ。
更に途中小雨もぱらつき、テンションも若干低めに・・・。


ずーっとこんな空模様でした。それでもこの階段歩きは結構好きだったなあ。尾瀬の木道に近いものがあるからかしらん。こう、緑の景色の中に(目的地を目指す)人為的な意思を持った構造物があるというのはなんとなく安心するものなのですね。岩場のマーキングみたいに。
 
(チングルマ)
 

(ハクサンシャクナゲ)
 
それから岩場に隠れるようにひっそりと咲く花々にも勇気をもらいました。特に天気が悪かったので、風に弄ばれるように揺れる花びらがなんとも言えず健気でいたいけなのでした。
タカネバラとかシナノキンバイも咲いてたと思います。でもハクサンシャクナゲが一番だったなあ。あの薄桃色が可憐で、それでいてボリュームもあってゴージャス。中国の美人画の簪にしたらさぞかし似合うことでしょう。
頂上ではゆっくり休むよりも、小休止に留めて早々の下山。小至仏から鳩待峠へ戻り、花豆ソフトを食べ(重要)、帰路へ。鳩待峠への木道歩き中にやや雨が強くなったので、やはり早め早めの行動にして正解だったかなと思います。
ゆったりのんびり尾瀬を満喫した1日目に比べスパルタ気味の2日目でしたが、とにもかくにも頂上に立つことは出来ましたし、無事に帰れてまずはよかったなと思います。ただ、青空の下で素晴らしい景色を堪能したかったなあという悔しさもあるので、いつかまた再チャレンジしたい。

でもその前に燧ケ岳と会津駒だな。
 

2014年6月29日日曜日

半月山(1753M)【栃木県】

日程:5月11日(日)

メンバー:単独

天候:晴れ

アクセス:自家用車

コースタイム:
 9:23茶ノ木平入口(日光レークサイドホテル脇)-10:13茶ノ木平-10:44展望台-11:04狸山-11:14第一駐車場-11:57半月山-12:06半月山展望台-(昼食)-12:28展望台発-13:18狸窪

感想/記録:
4月から激務部署へ異動になりまして、心身共に余裕のない日々を送っています。ああ、自然にふれてリフレッシュしたい!!という衝動が抑えきれず、久々に山へ登ってきました。
この時期の日光はまだ気温も低く、前日に同じコースを登った方の山レコ記事でも残雪の記述があったため、軽アイゼンもないし(そもそも必要かどうかも未知数)どうしようかしらと躊躇しましたが、とりあえずムリだと思った時点で引き返すことにして決行しました。
日光について早々最初に迷ったのが茶ノ木平の登山道の入口。レークサイドホテルの辺りなのは分かっていたけど、中禅寺湖側か反対側なのか良く分からず、地図を片手にうろうろすること20分でようやく入口を発見して取り付きました。ちなみに場所は・・・なんて説明したらいいんだろう、ホテルの裏手のお墓の近くです。最初こそ若干勾配がありますが、一度尾根に出れば中禅寺湖や新緑を眺めつつ気持ちよく歩くことが出来ます。。
茶ノ木平から30分ほどのところにある展望台からは、男体山と中禅寺湖が一望できます。天気が良かったせいか湖がいつもより青く見えてとても綺麗でした。
展望台の後は一度下って中禅寺湖スカイラインを横断し、狸山の登りへ。狸山は小ピークといった感じで格別の印象はなかったかも。ここを下るとまた中禅寺湖スカイライン脇の駐車場に出ますが、ここも景色は抜群です。NHKのカメラが設置してあるので要チェック。
駐車場の奥から半月山への登山道が伸びています。残雪がどこから目立ってきたかちょっと記憶に残ってないのですが(適当)、トラバース道で残雪があるような箇所もあり、不慣れな自分にはやや歩きにくい場所があった印象です。ただ、最終的には一歩一歩ゆっくり足場を確かめながら先行者の足跡を追っていけば問題はありませんでした。さすがにこれは危ないかな・・・という箇所が1箇所ありましたが、回り道が確保されていたため大丈夫でした。
半月山の展望台は八丁出島、中禅寺湖、男体山はもちろんのこと、行く手に見える社山や黒檜岳、錫ヶ岳、奥白根等奥日光の山々や庚申山等の足尾の山々も一望できるとても見晴らしのよい展望台です。このコースは景勝地だけあって複数の展望台がありますが、ここが一番きれいだったかも。あまりに気持ちが良かったので、ここで昼食休憩。スカイラインに沿った登山コースのため、登山者でない一般の観光客も訪れていました。
半月山の下りはやや急で、いっきに高度を下げていく感じ。一度下りきったところで半月峠への道と中禅寺湖畔へ向かう狸窪への下山道に分かれます。下山道も若干雪が残っていましたが、つづら状の道で勾配もきつくないため危なくはありませんでした。
下りきって中禅寺湖畔に着き、登山道は終了。歌ヶ浜沿いを戻ります。ちらほらといる釣り客がのどかな雰囲気を醸し出していました。
ちなみに、途上にあるイタリア大使館別荘記念公園はゆったりしたい方におすすめの観光場所。入館料無料(ただし、出来れば100円の協力金を)で、往時の別荘の中を見学することが出来ますし、なんといっても湖に面した広縁の椅子に腰掛けて、景色を眺めながらのんびりと穏やかな時間をすごすこの素晴らしさはプライスレス。まさに避暑地・日光を堪能できる穴場の観光スポットです。
帰りは三ツ山羊羹本舗の水羊羹と吉田屋羊羹本舗の一口羊羹を購入して帰宅。日光は水が綺麗なので湯波におとらず羊羹も美味しいのです。日光を訪れた際は是非ご賞味ください。
そんな感じで最後は観光紹介になりましたが、以上。

ああ、久々にリラックスできたなあ。またどこか行きたいなあ。

(時間がありませんので写真の編集はしませんでした。手が空いた時にまとめるかも。)

2014年2月16日日曜日

モロッコ旅行④:アイトベン・ハッドゥ~マラケシュ~帰国

帰国から1ヶ月半、やっとこさここまで辿りつきました。もう記憶は忘却の彼方です。つくづく自分のずぼらさが嫌になるわ。

この日はまず、アイトベン・ハッドゥへ向かいます。前の記事でカスバが出てきたと思いますが、この遺跡もやはり要塞的な性格を持った集落です。



土産物越しにパシャリ。


キター!!デカい!!かっちょいい!!
ちなみに写真に写っている橋は最近作られたもので、これが出来る前は川を渡る必要があったらしい。この不便さも、敵の侵入を防ぐために必要だったんだろうなあ。現在も数家族はこの遺跡に住んでいるそうですが、殆どの住民は対岸に移住しているそうです。


この橋の手前のお店でこんなお土産がありました。ミニ・アイトベン・ハッドゥ。なかなか良く出来ています。




ゲストハウス。

 
視界を遮るものがないので見晴らしも良い。青空を胸いっぱいに吸い込みたいくらい。
 
 
多くの映画のロケ地にもなっています。といってもアラビアのロレンスくらいしか分からない。
 
 
観光客向けにこんなパフォーマンスをしている人もいました。
 
 

 
 
さて、バスに戻ってマラケシュを目指します。ティシュカ峠を越えていくのですが、途中のレストランで昼食。
 
 
 
野菜で覆われていますが、確か牛肉のタジン。ここのレストランの方たちがとってもフレンドリーだった!レストランの中の写真を撮ってたら、いきなり肩を叩かれて「厨房の方へ来い」とジェスチャーされたので、「あれ?勝手に撮ったから怒ってる?お金要求される?」と思ったら、中でタジン鍋を作っている様子を写真に撮らせてくれた!しかもミントティーまで飲ませてくれた(正直食事の時に頼んだものよりうまかった)!いつの間にか他のツアー客も集まって、みんなで写真撮影状態にw面白かったです。もしかしたら凄くサービス精神が旺盛で、普段から観光客にはこういうことをしてくれてる人なのかもしれない。
 



途中、アルガンオイルのお店にも寄りました。上の写真は伝統的な作り方を実演していたところ。概してこいうところは値段設定が高めですね。アルガンオイルも街のスーパーで買った方が断然安いです。品質はどうか分からないけど。
物を買うときに思ったのですが、もし余裕があればカサブランカ空港内の土産物店であらかたの値段を確認した方が良かったかも(ツアーだからそんな時間はなかったけどね)。値段がかかれていないお店では当然交渉次第になるんですが、相手が最初に吹っかけてくる値段は空港価格と比べても高いです。そこら辺の一定の感覚がなかったので、今思えばかなり足元見られていたな~なんてことも正直ありました。特にバブーシュ。

マラケシュに着いたのは午後2、3時頃だったかな~。ここら辺からデジカメのSDの容量がわずかとなってきました・・・。

 

こちらはクトゥビヤ・モスクのミナレット。ムワッヒド朝(1130~1269)時代の建築物。ここも中は入れなかったです。
マラケシュではこれより高い建物を建ててはいけない!というほど、街のシンボル的な存在なんだそう。


近くのサボテンがこんなことになってたwこういうのは世界共通だわね。


観光客向けに馬車が走ってます。もちろん、たまに道路に糞が落ちていますw
このあと、マラケシュのメディナをぐるぐるして(超適当だな・・・)、ジャマエルフナ広場へ!大晦日ということもあり、ただでさえ混雑する場所が更に活気に満ちていました。


こちらはカフェの2階からの景色。入り口に店員さんがおり、注文をすると店内に入れる(ベランダから景色が見れる)という仕組み。


ちょうどいい具合に日も落ちてきました。
お店から出た後は土産物店を回ったり、屋台で食べ物をつまんだりしました。オレンジジュースが有名なんですが、味が濃くて確かにおいしかった!



日が暮れた後も混雑は途切れることがありませんでした。
楽しかったなあ!
マラケシュのホテルは旅行中で一番良いホテルでした~。何星かは忘れたけど。


まず天井がこんなんでした。


しかも大晦日だったのでガラディナー!!


フレンチのコースを堪能~。し、幸せ・・・。ただしメニューがフランス語で殆ど読めないw
といってもニューイヤーガラのため、当然0時過ぎまで催しが続くので・・・最初はパーティーの雰囲気にノリノリだったけど、旅の疲れもあってヒジョーに眠くなる。カウントダウンが終わった後もまだメニューは出ましたが、最後まで行き着かずに部屋に戻りました。
これ、明日は帰るだけで正解だったかも!明日も朝から観光ですよ~なんてなったら、結構辛かったと思う。
そんな感じでパーッと盛り上がって、いいかんじ旅は終わり!
翌日はひたすら空港へひた走ります。


そうそう、旅の間中印象に残ったのが薬局でよく見かけた↑こんな図案(写真は空港内)。だいたいどこでも似たような感じです。この蛇と杯はヒュギエイアの杯といいましてね、ギリシャ神話由来なんですが、医療の象徴、特に薬学の象徴として世界的に用いられるモティーフなのです(似たようなものにアスクレピオスの杖がある)。日本では馴染みのないマークですが、実際に使われてるんだ!とちょっと感動した次第。ちなみに、アスクレピオスの杖は日本でも作業療法士免許証とかに入ってるんですよ~。
 
長時間のフライト中は友人が貧血症状で倒れたりするハプニングもありましたが、なんとか無事に成田まで帰ってまいりました。途中のイスタンブール空港では、トルコに一歩も足を踏み入れてないにも関わらずトルコ土産を購入wトルコ航空の機内サービスで出たロクムがおいしくて、つい。
帰国が夜だったので、その日は空港近くのホテルに宿泊。翌日は千葉と茨城を観光しながらのんびり帰りました。


まず成田山へ!混み始める前&裏手から行ったことあり、さほど混雑しませんでした。ただ、門前のお店を見ているうちにどんどん混んできて、お昼時は本当に足の踏み場もないくらいに。


正月だから奮発しちゃおう!と成田名物のうな重も食べました。香ばしくやわらかいうなぎの身、甘辛のたれが染み込んだご飯・・・うまいっ!日本食うますぎる!!かのヘロドトスならこういうでしょう。「日本は醤油の賜物」だと。


牛久大仏も行きましたよ~。


もうね、迫力が違いますね。
遠くから上半身が見えてきた辺りから「うわー!!いるーー!!近づいてくるーー!!」(当たり前だ)って感じで笑いが止まらないw
しかも中が結構広くて、なにやら小さな動物園まであるし、意外と時間がつぶせるのです、これが。
大仏様の中も入れるんですが、今回は上まで行くエレベーターが止まっていて、展望台まではいけませんでした(正月中は入場無料なんですが、その分展望台までは行けない、ということらしい)。
入り口がやたらハイテクで面白いので必見です。

そんな感じで旅行記終わり!
あー、疲れた。なんでも長引かせるのは良くないという教訓になりました。